
子供の頃、憧れていた野球選手は松井稼頭央選手でした。
足が速く、肩が強い。見た目もカッコよく、ポジションも花形のショート。これだけでも十分にカッコいいのに、スイッチヒッターという当時の野球少年達にはちょっと珍しさがあって、余計に魅力的だったのを覚えています。
しかし松井稼頭央選手の人気とは裏腹に、スイッチヒッターは増えませんでした。
何故プロ野球ではスイッチヒッターが増えなかったのか。その理由について考察していきたいと思います。
大人になってからではハードルが高い
そもそもスイッチヒッターの場合、右打ち、左打ちと両方を練習しなければいけません。
そして本来右打ちの人が左打ちの練習をする訳ですが、その逆打ちの練習をするのであれば、年齢が若ければ若いほど良いという事です。
左利きの子を幼少気から右利きに矯正したら、利き腕のように扱えるようになりますよね。
この利き腕のように使える事がとても重要なんです。
例えば松井稼頭央選手はプロ入りしてから、左打ちを始めてセンスと努力で左打ちでも結果を出していきました。
しかしその松井稼頭央選手でも、 メジャーでは左打ちに苦労をしました。
本来の右打ちは反応で打てるのですが、プロ入り後に作った左打ちでは感覚が鈍く、メジャークラスのピッチャーには対応が難しかったそうです。
それでもプロ野球で通用してしまう松井稼頭央選手はちょっとおかしいですが・・。
因みにこの感覚というのは、利き腕のように扱える事です。
プロには右利きの選手で、左打ちの選手が多くいますが、小学生の段階で矯正をしている例がほとんです。子供は偉大ですね。
そしてこの右利きの選手が左打ちに矯正すること自体は、割と少年野球でも寛容なイメージがあります。しかし残念ながらそこからスイッチヒッターにする例が少ないんです。
ではなぜ少ないのか?
それは少年野球の体質上の問題なのです。
必要がなかった

プロ野球に入る選手というのは、遅くとも少年野球までには野球を始めている人が大半です。
そしてその少年野球でスイッチヒッターを育成しない原因というのが・・・
そもそもスイッチヒッターであるメリットが少ない。という理由があります。
というのもリトルリーグを除く少年野球では変化球を投げる事がありません。おまけに極端なサイドスローのピッチャーも少ないです。
スイッチヒッターのメリットは左右の相性を無くすことですが、少年野球ではそこまで左右差を苦にする事がありません。
少年野球では必要があまりない以上、プロ野球でも数の少ないスイッチヒッターを育成しようという発想になりづらいという事が、スイッチヒッターが少ない背景にあると僕は思っています。
更に20年~30年前までの指導にも問題がありました。
実際に僕らが少年野球をやっていた時は(20年~30年前)情報も少なく、新しい事にチャレンジをするというよりは、過去の経験をなぞらせるような、保守的な考えでの指導が多かったように思います。
当時の監督やコーチなりに、ある程度選手の将来を見据えて指導はしてくれていたとは思うのですが、どちらかというと精神論や抽象的な指導が多く、明確なビジョンを持っての指導が少なかったのが事実です。
しかしこれからは違います。
情報が増えて指導者のレベルが上がる
今は多くの情報が出回り、しかも簡単に手に入ります。
今までは自分の経験や人脈の中でしか情報が無かった訳ですから、ユーチューブやインターネットを含めて情報が増えれば、当然指導の幅が広がります。さらに新しい指導方法も出てくる事でしょう。
そして、そんな新しい時代に、僕が今後の野球界に提唱したいのが、スイッチヒッターありきの野球です。
あくまで少年野球から全員をスイッチヒッターにする指導が主流になる事が前提ですが、プロ野球選手のほとんどがスイッチヒッターになったら非常に面白くなると思っています。
まず何が起こるかと言うと、打高投低です。
一流バッターの中には右も左も変わらず打つ選手もいますが、全体で見ると左ピッチャーと右ピッチャーで打率が極端に変わる選手もいます。
もしそういうバッターが純粋なスイッチヒッターになったら、苦手な相手が苦手ではなくなる可能性がありますので、打率が上がる可能性が非常に高いです。
そしてプロ野球全員が純粋なスイッチヒッターになったら、全体の打率が押し上げられる事は、全くあり得ない話しではないと僕は考えています。
単純にプロ野球全体で右ピッチャーの割合が多い事から考えても、多少の影響が出る事は間違いないと思います。
もしかしたら両投げのスイッチピッチャーが何人か出てくる可能性も無くはないですよね。
そして戦術の幅も広がります。
右ピッチャーには左打席が絶対ではない

今のスイッチヒッターは右ピッチャーには左打席。左ピッチャーには右打席が絶対となっていますが、必ずしもこれに当てはめる必要はないと思っています。
右打席でも右ピッチャーが得意な選手もいますので、時には右対右でもいいと思っています。
右打席の方がホームランが多ければ、右ピッチャーの時に右打席でもいいです。
西武の山川選手は右ピッチャーに対して、ホームランは多いのですが、打率が低いです。
もし仮に山川選手がスイッチヒッターだとしたら、確率を求める時は左打席に立つという選択肢も出てきます。ちょっとイメージは出来ないですが・・・。笑
ただこういった風に局面やデータで打席を決める野球が主流になると、野球の幅が広がると思います。
野球は将棋のようなスポーツですので、選択肢が増えれば野球が好きな人にとってはより楽しめるはずです。
今後野球が進化していく上でスイッチヒッターに限らず、まだまだ可能性はたくさんあります。
情報が増えた現代において、今後どのように野球が発展していくかとても楽しみですね。
[…] 今後プロ野球はスイッチヒッターだらけになる可能性 […]
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